今一度、チャットコミュニケーションに対する期待値を合わせる

こんにちは。@ron_4321です。この記事はEM Advent Calenderの14日目のものです。

はじめに

最近、色んな職種の人がチャットを使って仕事をするのが当たり前になったことで、どうしても使い方の価値観の違いによる不満が発生しがちだなーと感じます。DMで業務の相談をしないでほしいーとか、その会話はスレッドでやらないでーとか、みなさんも一度は経験があるのではないでしょうか?

年々チャットコミュニケーションの割合が増えていったり、リモートワークを実施する企業が増えていく中、こういったチャットコミュニケーションでの消耗が生む生産性の低下はバカにならないんじゃないかと思っています。

色んな人が当たり前に使うようになってきた今だからこそ、チャットコミュニケーションに対する期待値を合わせることを見直してもいいんじゃないか。

とそんなことを思ったので、書いていきたいと思います。

チャットコミュニケーションにおける不満の正体

先にチャットコミュニケーションの不満の例を挙げましたが、こうした不満はなぜ発生してまうのでしょうか?

色んな要因があると思いますが、私は組織やチームで何を是とするかの合意が取れていなく、各々の価値観で他人のチャットの使い方を評価してしまうことが大きな要因じゃないかと思っています。 特に、合意を得れているかが重要で、何を是とするかが決まっていてもそれがどのような理由や背景で決定したかがからないと反対意見の人は合意したくてもできません。その状況だと自分の価値観を優先して判断してしまい結果的に不満につながってしまうでしょう。

また、もう一つ大きな要因として、チャット文化への関わり方に差があることにより、使い方の期待値が合わないということがあると思っています。

例えば、エンジニア職の方は長年チャットを使っているので、チャット文化について理解が深い人が多いでしょう。 慣れがあるので、階層化されているわけでもない大量のテキストデータをストリーミングして適切に必要なものだけフィルタリングすることにも抵抗がなかったり、 パブリックなチャンネルでオープンなコミュニケーションを取ることも嫌じゃないという人は多いのではないかと思います。

一方、ビジネス職や管理部門の方はチャットを使い始めたのが最近でチャット文化へまだ慣れていないという方が多いのではないでしょうか。

仕事上のコミュニケーションは長年Gmailを使っていて、スレッド形式の階層化されている情報に触れていることが多く、Slackでも同じようにスレッドを使うことにまとまりがあって好ましいと考えたり、 1:1の対面のコミュニケーションで仕事を進めることが多かったことから、DMを使うことの方がしっくりくると考えたりすることもすごく自然なことだと思います。

これらの使い方や考え方というのはどちらか良くてどちらが悪いというものではないと思っています。 あくまで今までのチャットとの関わり方の差から生まれる文化の違いでしかありません。 海外では家の中で靴を履くのが当たり前だけど、日本では履かないのが当たり前といった文化の違いと同じことでしょう。

一方で、文化が違うと争いが発生するのもとても自然なことだと思います。

文化が違う人が混在する中で、個人の価値観で是非を決めるのは危険なので、組織やチームの価値観で是非を決めていき、理由を説明して合意を得るということが必要になってくるのではないでしょうか。

チャット文化への慣れが少ない人を置き去りにしていないか?

上記したように、組織やチームの価値観で是非を決めて合意を得ていくことは非常に大事なことだと思っています。 大なり小なり、多くの企業ではこうした取り組みは行なっているのではないでしょうか。

一方で、こうした決め事や運用をしていくときに、チャット文化に慣れていない人が置き去りになっていないでしょうか?

  • 慣れている人だけでルールを決めていないでしょうか?
  • 慣れていない人はそのルールや背景を理解できているでしょうか?
  • 慣れていない人はそのうち勝手に慣れてくれると思っていないでしょうか?
  • 新しく入社した人も同じように理解できているでしょうか?

こういった決め事をしていく時にはどうしても権威勾配が急になりがちだと思います。慣れてない人は意見を言いづらいし質問もしづらいはずです。

慣れている人ほど権威勾配が急になることを意識して、慣れていない人をフォローしていってあげることで質の良い合意形成になっていくのではないかと思います。

組織としてもっとコストをかけて取り組んでもいいのではないか?

これは組織によって全然違うと思うので一概には言えないのですが、個人的にはこうした取り組みに組織としてコストをかけて取り組んでもいいのではないかと思います。 なぜ「コストをかけて」なのかというと、

一つは、コストをかけずふんわり運用するとそれなりに回ってしまうがゆえに問題が顕在化しないと思っているからです。

コミュニケーションで何か問題が起きたとき、多くの人は多少の不満であれば我慢するでしょう。そんなに頻度も高くないと思うのでなおさらです。 そういった多少の我慢が積み重なっていくことで徐々に徐々に綻びが生まれていきます。その綻びは何か大きめのきっかけがあると爆発して修復不可能になってしまうものだと思っています。 そういう綻びを生まないためにコストを支払うことは費用対効果があることなんじゃないか。と思っています。

もう一つは、年々対面コミュニケーションが減り、チャットコミュニケーションの割合が増えてきていると感じるからです。 対面コミュニケーションの時は顔や表情や話し方など、色んな情報からその人のへの印象を決定しますが、 チャットコミュニケーションでは基本的にはチャットでのやりとりがその人への印象になりやすいと感じています。 対面よりテキストでのコミュニケーションの方が圧倒的に難しいので、ただでさえ難しい組織内での心理的安全性を担保していくのがさらに難しくなっていくと思っています。

このような考えから、個人的にはコストをかけて取り組んでもいいのではないか。と考えています。

まとめ

色んな人が使うようになった今だからこそ、チャットコミュニケーションの期待値を合わせる取り組みについて見直したり、改めて力をいれてやっていくってことをしてもいいんじゃないか? というのがこの記事で伝えたいことでした。

こうした取り組みが増えていって、チャットコミュニケーションで疲弊する人が少しでも減って、チームとしての成果が最大化されていって楽しく働ける組織が増えていけばいいなーと思っています!